DM26-RP1「逆札篇 第1弾 逆転神VS切札竜」は、2026年4月11日に発売された逆札篇の第1弾である。勝舞編の名前、ガルドを思わせる背景、ボルメテウスやヘヴィ・メタルの記憶。見た目だけなら、昔を知るプレイヤーへ向けた懐古パックに見える。

だが中身を見ると、これは復刻ではない。昔のカード名やギミックを、今のデュエマの速度、除去耐性、踏み倒し、シールド操作に合わせて組み直したパックだ。名前は昔を向いているのに、カードの役割はかなり現在を向いている。
DM26-RP1の核は「昔のカードが帰ってきた」ではなく、「昔のカードが今のゲームで仕事を持つならどうなるか」にある。新能力のZラッシュは、シールドが離れることをきっかけに一時的なハイパーモードを解放する。新カードタイプのG城は、城の記憶をシールドゾーンへ置き直し、場に残るメタやテンポ札として再定義している。
勝舞編のカードは、巨大な切り札、複数枚そろえるロマン、シールドを巡る攻防、呪文や城の派手さが魅力だった。一方で、現代デュエマは1枚で仕事を始める力、出たターンの干渉、返しのターンまで残る圧力が重い。逆札篇第1弾は、その差をかなり意識している。
このパックではシールド・フォース、ニンジャ・ストライク、クロスギア、手札進化、シールド・プラスなど、長く新規カードが途切れていた要素も再登場している。ただし、昔のテンポをそのまま持ち込むと今の環境では遅い。だからDM26-RP1のカードは、懐かしいキーワードを持ちながらも、cip、耐性、置換効果、ロック、踏み倒しメタを同時に抱える。
面白いのは、昔のロマンが小さくなったのではなく、圧縮されたことだ。ゴッドリンクのようにそろえる快感、ボルメテウスのシールド焼却、パーフェクト・ギャラクシーの不滅感、バイケンのカウンター性。そうした記憶が、1枚で始動できる形へ変わっている。
<span class="card-name">《切札竜 ボルメテウス・リバース・ドラゴン》</span>は、水文明の5コスト、エクスドリーマー/アーマード・ドラゴン/超化獣のドリーム・クリーチャー。ブロッカー、W・ブレイカー、ブロックされない能力、相手に選ばれない耐性を持ち、出た時に次の自分のターンのはじめまで相手クリーチャー全体を攻撃もブロックもできなくする。

ハイパーモードでは12000のT・ブレイカーになり、相手のシールドをブレイクするかわりに山札の下へ置く。いわゆるボルメテウスらしいシールド焼却だが、完全に昔と同じではない。置いた枚数ぶん各プレイヤーがドローするため、相手に手札を与えない純粋な焼却ではなく、「トリガーを踏ませずに安全に通す」方向へ寄っている。
昔のボルメテウスは、シールドを焼くことで相手の逆転を断つフィニッシャーだった。このカードはそこに水文明らしい足止めを足している。出たターンに盤面を止め、1ターン生き残ればZラッシュで詰める。即勝利のドラゴンというより、相手の攻撃と防御を一度止めてから勝ち筋を作る、コントロール寄りのボルメテウスである。
<span class="card-name">《逆転龍神ヘヴィ・ウィン・メタル》</span>は、闇/火文明の5コスト、ゴッド/超化獣。出た時または攻撃する時に、自分の他のクリーチャーを1体破壊してよければ1ドローし、相手クリーチャー1体を破壊する。さらに自分のクリーチャーが破壊されるたびにシールドを1つブレイクできる。

元ネタはもちろんヘヴィ、デス、メタルのゴッドリンクに連なる記憶だ。昔のヘヴィ・メタル系は、複数のパーツがそろって初めて巨大な存在になるロマンがあった。今回のカードはその「そろった時の圧」を1枚に閉じ込めている。自壊、除去、ドロー、シールドブレイクが一続きになっており、スーサイドがそのまま攻撃圧へ変わる。
Zラッシュ後は39000、ブロッカー、ワールド・ブレイカー、相手クリーチャーへの攻撃強制を得る。スピードアタッカーを持たないため、出してすぐ勝つカードではない。だが、返しのターンに相手へ攻撃を強要し、ブロックで返り討ちにし、次の攻撃でワールド・ブレイクを狙う流れはかなり重い。昔の「完成したら強いゴッド」を、今の「1枚で展開を作るカード」に変換した代表例だ。
<span class="card-name">《叡智のW インビンシブル・ギャラクシー》</span>は、光文明の6コスト、エンジェル・コマンド。ブロッカー、W・ブレイカー、シールド・フォースを持ち、SF能力で自分のクリーチャーすべてを離れない状態にする。攻撃またはブロックした時には1ドロー、シールド回収、手札からのシールド化を任意で行える。

関連カードとして強く意識されるのは《不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー》だ。昔のパーフェクト・ギャラクシーは、自分自身がとにかく場を離れにくい、単体の不滅感が魅力だった。今回のインビンシブル・ギャラクシーは、その不滅を自分の盤面全体へ広げている。
ただし、シールド・フォースで選んだシールドがなくなると耐性は消える。ここが現代的で、ただ硬いだけではなく、シールド管理というプレイを要求する。攻撃・ブロック時のシールド交換も、守りを維持するか、手札を整えるかの選択になる。白の大型ブロッカーが「置物」ではなく、盤面とシールドを動かすエンジンになっているのが面白い。
<span class="card-name">《世界のY チャクラ・デル・フィン》</span>は、光文明の3コスト、アポロニア・ドラゴン/超化獣。出た時に山札の上から1枚をシールド化し、自分のシールドゾーンにカードが置かれるたび、相手クリーチャー1体をタップして次の自分のターンのはじめまでアンタップさせない。

名前には《時空の雷龍チャクラ》と《光神龍スペル・デル・フィン》の影が見える。昔のデル・フィンは呪文を強烈に止める巨大なフィニッシャーで、チャクラは覚醒を通じて圧をかけるカードだった。今回のカードは、その圧を3コストの小型に落とし込み、シールド追加とフリーズをつなげている。
Zラッシュ後は7500、ブロッカー、W・ブレイカーとなり、相手はコスト5以下の呪文を唱えられなくなる。呪文主体のデッキに対しては、序盤から置けるロックとしてかなり嫌な存在だ。大型で蓋をする昔のデル・フィンと違い、今の役割は「相手が動き出す前にテンポを削る」ことに寄っている。
<span class="card-name">《蝕眼のV ヴェノム・ランブル》</span>は、闇文明の4コスト、デーモン・コマンド/超化獣。各ターンはじめてカードがどこからでも相手の墓地に置かれた時に1ドローでき、攻撃時には相手の山札の上1枚を墓地に置く。

ハイパーモードでは8000のW・ブレイカーになり、相手のカードはマナゾーンにタップして置かれ、バトルゾーンにもタップして出る。さらに破壊された時、自分の墓地からタップして出せる。元ネタとしては《時空の賢者ランブル》系の覚醒サイクルの記憶があるが、実際の役割はかなり違う。
昔のランブルは、覚醒条件や大型化のロマンを背負っていた。ヴェノム・ランブルは、相手の墓地移動をドローに変え、ハイパーモードでマナと盤面の入り方まで遅らせる。除去されても戻るため、相手に「処理したのにテンポが戻らない」感覚を押し付ける。登場初期から赤黒系やコントロール系で触られているのも、単なる懐古枠ではなく現代の妨害札として読まれているからだ。
<span class="card-name">《斬隠将撃龍ニバイケン》</span>は、水/火文明の6コスト、ポセイディア・ドラゴン/アーマード・ドラゴン/シノビ。ブロッカー、スピードアタッカー、W・ブレイカーを持ち、相手ターン中に手札から捨てられる時、墓地に置くかわりに出せる。出た時には相手クリーチャー1体と効果バトルし、タップした時には2ドロー1ディスカードの手札交換もできる。

元ネタは《斬隠蒼頭龍バイケン》と《デュアルショック・ドラゴン》の要素だ。昔のバイケンは、ハンデスや手札交換に反応して出てくるカウンター札という印象が強かった。強い場面では非常に強いが、手札に来た時の扱いがデッキを選ぶカードでもあった。
ニバイケンはそこをかなり変えている。マッドネスとして受け札になり、出た時の効果バトルで1面止め、ブロッカーでさらに1打点止められる。自分のターンに普通に出しても、スピードアタッカーのW・ブレイカーとして攻められるうえ、タップ時の手札交換で後続も探せる。刺さる相手だけを待つカードから、攻守どちらでも最低限の仕事を持つドラゴンへ現代化された。
<span class="card-name">《我竜塔第七層 ハッスル・キャッスル》</span>は、自然文明の3コストのG城。実行すると表向きでシールド化され、表向きでシールドゾーンに置かれた時に山札の上1枚をタップしてマナゾーンに置く。さらに、相手のクリーチャーが召喚以外の方法で出る時、かわりにマナゾーンへ置く。

元の《ハッスル・キャッスル》は、クリーチャー展開をドローに変えるリソースの城だった。今回のハッスル・キャッスルは、名前から想像する「手札が増える城」ではない。1ブーストしながら、相手の踏み倒しクリーチャーを着地前にマナ送りにするテンポメタである。
G城なので、通常の置物メタよりメインステップ中に触られにくい。相手は攻撃ステップでシールドを割って処理する必要があり、その時点で一手ずれる。ただし、安全な攻撃先にもなるため万能ではない。強いのは、相手に本来必要なかった攻撃や回り道を強制するところだ。昔の城が「場に残って得をする」カードだったなら、これは「シールドに置かれて相手の展開順をゆがめる」カードになっている。
<span class="card-name">《改竄の炎 ボルメテウス・ハック》</span>は、水文明の2コスト、ミリオン・フレイム/超化獣。相手のクリーチャーは相手の手札以外から出ない、という手札以外メタを持つ。Zラッシュ後は5000になり、相手クリーチャーは出たターンに攻撃できなくなる。

ボルメテウスの名を持つが、役割は大型フィニッシャーではない。2ターン目に出て、墓地、山札、超次元、その他の踏み倒しを抑える小型メタだ。ハイパーモード後の速攻メタは、相手がシールドを割ってきた返しに後続の即時攻撃を止める形で働く。
このカードの面白さは、切札級の名前を小型の妨害へ落とした点にある。昔のボルメテウスが「最後に勝つカード」だったのに対し、ハックは「相手が勝ちに行く前の道を狭くするカード」だ。デッキによっては除去されると脆いが、低コストで置ける手札以外メタというだけで、現代のゲームでは十分に役割がある。
この弾には<span class="card-name">《森仙のJ ロマネスク》</span>や<span class="card-name">《逆転の火焔ボルシャック・メビウス》</span>など、名前だけで昔のプレイヤーを振り向かせるカードも多い。ロマネスクはかつてマナを伸ばし、ゲームの中盤以降を一気に変える象徴だった。ボルシャックやメビウスの系譜も、デュエマの「火文明の切札」感を背負っている。

こうしたカードは、単に古い名前を借りているだけでは読み味が弱い。見るべきなのは、当時のロマンを現代のどの役割に割り振ったかだ。大型化、マナ加速、覚醒、連続攻撃、除去。昔は複数ターンかけて成立していた動きが、今は1枚のcipやZラッシュ、G城の置換効果に圧縮される。その変換の仕方こそ、逆札篇第1弾の読みどころである。
DM26-RP1は、勝舞編をそのまま戻した商品ではない。勝舞編の名前や記憶を使いながら、令和のデュエマで必要な速度へ合わせた商品だ。昔の大型カードが持っていた「出たらすごい」という感覚は、今では「出た時に何を止めるか」「返しのターンまで何を残すか」「相手の逆転札をどこまで封じるか」に置き換わっている。

だから、このパックは懐かしいだけでは終わらない。当時を知っている人には、名前と役割のズレが面白い。現役プレイヤーには、メタ、耐性、シールド操作、テンポ干渉の集合として読む価値がある。昔のカード名が、今のデュエマの問題に対する答えとして再配置されている。
逆札篇第1弾は、勝舞編の復刻ではなく、勝舞編の再設計だった。<span class="card-name">《切札竜 ボルメテウス・リバース・ドラゴン》</span>は水文明の足止めを得たボルメテウスになり、<span class="card-name">《逆転龍神ヘヴィ・ウィン・メタル》</span>は複数枚のロマンを1枚へ圧縮し、<span class="card-name">《我竜塔第七層 ハッスル・キャッスル》</span>はリソースの城から踏み倒しメタへ変わった。
名前は昔を向いている。しかし、動きは明らかに今を向いている。そのズレがあるから、このパックは単なる懐古商品ではなく、デュエマが自分の歴史をどう使い直すかを見せる商品になっている。