闇文明の呪文《デーモン・ハンド》を応用した義手が先月頭に実用化され、京都府二百条市の医療機関で試験導入が始まった。一方、装着者が強く握った物が「墓地に置かれる」性質が確認されたため、市内のリハビリ施設では握力測定を当面中止することを決めた。
開発したのは二百条市に本社を置く医療機器メーカー「黒城メディカル」。従来の義手では難しかった強い把持力と細かな指の動きを両立するため、《デーモン・ハンド》の能力を制御機構に応用したという。
同社によると、ペットボトルのふたを開ける、荷物を持つ、箸を使うなどの日常動作では良好な結果が得られていた。
しかし先月28日、市内の「二百条中央リハビリセンター」で性能確認のため握力測定を行ったところ、装着者が握力計を強く握った直後、測定器が使用不能になった。
職員が別の握力計で再測定したが、こちらも同様に使用できなくなったため試験を中断。その後の調査で、《デーモン・ハンド》の「相手のクリーチャーを1体選び、持ち主の墓地に置く」性質が義手にも一部残っていたことが分かった。
同センターの担当者は「数字が表示される前に握力計の方が処理されてしまった。これでは何キロあるのか確認できない」と話す。
試験に参加した市内の70代男性は「普段の生活では非常に使いやすい。缶のふたも簡単に開けられる。ただ、力を入れすぎないよう常に気を付けている」と話した。
二百条市は3日、市内の医療機関に対し、《デーモン・ハンド》義手を使用した握力測定を当面行わないよう通知した。日常生活での利用については問題ないとしている。
黒城メディカルは現在、一定以上の力が加わった際に墓地送り能力だけを停止する安全装置の開発を進めている。
同社の担当者は「義手としての性能そのものは非常に高い。次のモデルでは、少なくとも握力計を破壊しない程度には調整したい」としている。